「コリン・ウィルソンが亡くなったらしい。哀しいことだ」
「名前を知ってる作家なの?」
「子供の頃は、創元推理文庫の賢者の石を喜んで読んでいたよ」
「どんな話?」
「変な金属を頭に埋め込むと過去が見えてシェイクスピアはベーコンだったと分かる話だったかな」
「えー」
「子供心に、助手にしてくれる貴族が欲しかったよ」
「なんだそりゃ」
「大学に入ったとき、生協でミステリーズ買ったら、買う人がいると思って仕入れたと生協の店員が喜んでいたが印象的だ。たしか、東工大の東小金井の生協だ」
「ひ~。マニアがマニアを呼んだ!」
「あれはね。UFOは無くてもUFO現象は存在するって書いてあったのかな。そこで目から鱗が落ちた。UFOの実在は論じる意味が無いが、UFOが見えてしまう現象の実在は疑いようもない」
「トンデモ論だね」
「後ね。性のアウトサイダーとかも読んでいるよ」
「ふーん」
「でもね。著書のリストをWikiPediaで見るとほとんど読んでいないことが分かる」
「でも印象に残るんだね?」
「本当に印象に残る人は、たった1冊の本でも残る。残らない人は百冊読んで残らない」